更新日:2026年4月21日 (火)

公開日:2024年8月19日 (月)

職務質問は拒否できる?急いでいるときは?職務質問の対処法

職務質問は拒否できる?急いでいるときは?職務質問の対処法 職務質問は拒否できる?急いでいるときは?職務質問の対処法

サマリー

職務質問は、警察が治安を維持し、犯罪を未然に防ぐために行う職務の1つです。

警察が治安維持のために行う職務だとは理解していても、急いでいる時や頻繁に職務質問を受けると困ってしまいますよね。

しかし、対応を誤れば、トラブルに発展したり、公務執行妨害で逮捕されたりするおそれがあるため、注意が必要です。

この記事では、職務質問について以下の点を解説します。

職務質問は拒否できる?
職務質問の根拠となる法律や警察に許された行為
職務質問を受けた場合の対処法
職務質問のポイントを押さえて、今後の参考にしてください。

職務質問とは

職務質問とは、警察官職務執行法第2条にもとづいて行われる警察官の職務です。

(質問)

第二条警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知つていると認められる者を停止させて質問することができる。

引用:警察官職務執行法第2条|e-Gov

警察官の職務は、公共の安全と治安維持です。犯罪捜査やパトロール、防犯指導などの他に、犯罪を未然に防ぐための職務質問も含まれます。

職務質問は拒否できる?

職務質問は任意なので拒否できる

職務質問は任意であるため、法律上は拒否することができます。警察官職務執行法にも、強要はできないと明記されています。

(質問)

3前二項に規定する者は、刑事訴訟に関する法律の規定によらない限り、身柄を拘束され、又はその意に反して警察署、派出所若しくは駐在所に連行され、若しくは答弁を強要されることはない。

引用:警察官職務執行法第2条|e-Gov

そのため、職務質問を拒否しても、逮捕されたり、罪に問われたりすることはありません

任意ではあるが拒否は事実上難しい

職務質問は法律上拒否が可能ですが、拒否するのは事実上難しいでしょう。

警察官は何かしらの不審点を見つけた場合や、その地域で犯罪が発生しているなどの理由で声をかけています。

仮に職務質問は任意だと主張をしても、納得できる回答がない以上、警察官が立ち去ることはないと考えられます。

むしろやましいことがないのであれば、職務質問に応じることができるはずだと、警察官からは疑いを持たれてしまうことになるでしょう。

任意だと主張をすれば、今度は警察官から協力のお願いという形で、質問が続くことになります。

そのため、職務質問を受けた場合に一番よい対応は、速やかに質問に応じて早く解放してもらうことなのです。

場合によっては任意同行を求められる

職務質問が交通の妨げになるような場合は、一旦署で話を聞かせてくださいと任意同行を求められる可能性があります。

これも警察官職務執行法に明記されています。

(質問)

2その場で前項の質問をすることが本人に対して不利であり、又は交通の妨害になると認められる場合においては、質問するため、その者に附近の警察署、派出所又は駐在所に同行することを求めることができる。

引用:警察官職務執行法第2条|e-Gov

任意同行に関しても、応じる義務はありませんし、拒否しても逮捕されることはありません

しかし、警察官に対して暴行や脅迫を行うと、公務執行妨害が成立して、逮捕される可能性があります。

任意同行をしつこく求められたとしても、暴行や脅迫行為をするのはやめましょう。冷静に対処することが重要です。

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職務質問の場から立ち去っても違法ではない

警察の職務質問がしつこいからとその場から立ち去っても、違法にはなりません。

職務質問は法律上任意であるため、逃走にあたることもありませんし、立ち去った理由を説明する義務もありません。

ただし、その場から立ち去ったとしても、警察官はついてくるでしょうし、職務質問に応じるようお願いをしてくるでしょう。

後述しますが、警察官は職務質問の上で、一定の引き止め行為が認められています。

警察官の手を振りほどいたり、突き飛ばしたりすると、公務執行妨害が成立するおそれがあるため、注意が必要です。

職務質問で警察官に許されている行為

職務質問は事実上拒否が難しいですが、法律上任意であるため、警察官が可能な行為にも制限があります。

例えば、職務質問を拒否したという理由で逮捕はできません。職務質問で警察官に許されているのは以下の行為です。

  • 停止させて質問をする
  • 所持品の検査をする
  • 尿の検査をする

ここでは、職務質問で警察官に許されている行為を解説します。

停止させて質問をする

警察官は、職務質問において相手に質問をするために、相手を停止させて話を聞くことができます。

この停止させる行為については、言葉で停止をさせるだけでなく、以下のように物理的に接触(有形力の行使)して停止させることも認められています。

  • 強い言葉で停止させる
  • 立ち去ろうとする者の前に立ちふさがる
  • 腕や肩に手を置いて物理的にとどまらせる
  • 車や自転車で移動しようとした場合に鍵を抜き取る など

職務質問を受けている人からすれば、強引な行為で違法なのではないかと感じられるかもしれませんが、こうした行為は質問する状況を作るための手段として許容されています(昭和51年3月16日最高裁決定)。

特に、職務質問を受ける人が罪を犯したと強く疑われ、職務質問の必要性が認められる状況であれば、警察が職務質問のために行う停止行為の範囲が広がることになります。

一方で、以下のような行為は違法です。

  • 職務質問を拒否したことを理由に手錠をかけて逮捕する
  • 逮捕状もないのに、無断で敷地内に入り連行しようとする
  • 複数人の警察官で警察署に連行する

所持品の検査をする

警察官職務執行法では、所持品検査については規定されていません。しかし、判例では、以下のように示されています。

  • 所持品検査は、職務質問の効果を上げる上で必要性、有効性が認められる
  • 法律上の規定はないが、職務質問に付随して所持品検査を行うことができると解釈できる
  • 所持品検査は所有者の承諾を得て行うのが原則
  • 所持品検査の必要性や緊急性、侵害される個人の権利や公益などを考慮して、強制的な捜索に至らない範囲内で許容される

参考判例:昭和53年6月20日判決

判例上は、警察が物理的に手を触れ、バッグのチャックを開けて、中身を確認する行為を適法としています。

承諾がなくても、強制にならない範囲で所持品検査は許容されるとしていますが、所有者が明確に拒否している場合、強要はできません

以下のような、強制や捜索に等しい所持品検査は違法とされています。

  • 長時間に及ぶ所持品検査
  • 対象者が許可していない範囲の身体検査
  • 対象者がトイレに行きたいとする希望を阻止して行った所持品検査 など

所持品検査についても強制はできないため、拒否しても逮捕されたり、罪に問われたりすることはありません

尿の検査をする

職務質問の中で、対象者の言動がおかしいなど挙動不審だったり、所持品から薬物が見つかったりした場合は、警察署への任意同行や尿検査を求められる可能性があります。

尿検査についても、裁判所の令状がない限り、強制はできませんし、拒否もできます

ただし、拒否したとしても採尿をお願いされ続けることになりますし、その間に警察が強制採尿を可能とする捜索差押令状をとってくることも考えられます。

違法薬物を所有していた場合は、現行犯逮捕をされる可能性が高いでしょう。

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職務質問で対象となる人

職務質問で対象となりやすい人の特徴は以下のとおりです。

  • 同じ場所をうろついている、もしくは、目的がわからない人が同じ場所にとどまっている
  • 大きな荷物を持っている
  • 夜間に無灯火で自転車を運転している
  • 挙動不審である、ろれつが回らない、暑くない時期に大量に発汗している、季節に合わない服装をしている
  • 体形に合わないスーツなどを着用している、スーツなのにスニーカーを履いている
  • 警察を見かけた時の反応がおかしい、目を逸らして避けた など

こうした特徴は、空き巣や薬物中毒、特殊詐欺の受け子やその他の犯罪に共通すると言われています。

また、警察官は単に見た目だけで職務質問をしているわけではありません。

罪を犯す人の特徴とその場の状況、犯罪の情報などを考慮して職務質問を行っているようです。

一方で特定の見た目や特徴を持つ人だけに職務質問をするのは差別ではないかといった声もあります。

もし不当な職務質問を受けた場合は、すぐに弁護士に相談しましょう。

職務質問された場合の対処法

では、実際に職務質問をされた場合、どのように対処するのがベストなのでしょうか。ここでは、職務質問された場合の対処法を解説します。

最低限の捜査に協力する

職務質問は任意であるため拒否はできますが、結局警察官からはお願いといった体でしつこく質問を受けることになり、かえって時間がかかってしまいます。

そのため、職務質問を受けた場合は、速やかに応じて、最低限の操作に協力した方が、早く解放してもらえるでしょう。

質問をされたからといって、すべての情報を伝える必要はありません。

例えば、どこに行くのかと聞かれれば、最低限どこに向かっていたのか伝えれば事足ります。

その状況に不自然な点がなければ、無駄な問答をせずに済みますし、警察官は納得してその場を離れるでしょう。

仮にもっと話を聞きたいと言われたら、最低限協力したのだからと断ることができます。

挑発や暴行や脅迫をしない

何度も職務質問を受ける場合は、応じたくないという人もいるでしょう。

もし警察官にしつこく職務質問をされても、決して挑発や暴行、脅迫をしてはいけません。

挑発をすれば、やましいことがあるのではないかと警察官の疑いを一層深めることになり、望んだ結果と真逆になってしまいます。

以下のような暴行や脅迫をすれば、それは公務執行妨害が成立するため、やめましょう。

  • 警察官につかみかかる
  • パトカーを蹴る
  • 警察官に唾を吐く
  • 警察官に暴言を吐く など

職務質問の状況を記録しておく

職務質問を受けたら、スマホやボイスレコーダーなどでその状況を記録しておくことも有効です。

記録に残しておけば、警察官の威圧的な言動や不当な職務質問の抑止が期待できるでしょう。

万が一不当な職務質問があり、裁判で争う場合は、有効な証拠となります。

警察官から記録を止められそうになった場合は、職務質問の状況を記録に残したいと伝えましょう。警察官は、承諾なしに記録機器を取り上げる権限はありません。

弁護士を呼ぶ

善意から職務質問に応じても、さらにしつこく質問や所持品検査が行われ、理由をつけて任意同行を求めるケースもあります。

長時間に及ぶ職務質問や、無理やり所持品検査が行われるなど、不当な職務質問を受けた場合は、その場で弁護士に電話して相談する方法もあります。

弁護士に相談することで、対処法についてアドバイスをもらえる可能性があります。

電話越しに直接警察官と話してもらえれば、その場を解放してもらえることも考えられるでしょう。

頻繁に職務質問を受けるという人は、いざという時に相談できそうな弁護士の連絡先を控えておくのも1つの方法です。

警察の職務質問で違法となったケース

基本的に多くの警察官は、適法の範囲で職務質問をしています。

しかし、ここで紹介するような違法なケースがあれば、その場で弁護士に相談するようにしてください。

タクシーに乗った男性に対して10分以上降車をうながす

大麻を所持していたとして、大麻取締法違反に問われた男性に無罪判決が言い渡されました。

無罪となった理由は、警察の職務質問に重大な違法性があったからです。裁判では以下の行為を任意捜査の許容範囲を逸脱した違法な行為としました。

  • 警察官の職務質問を任意同行を受けて拒否をした男性が乗ったタクシーの周囲に、パトカーを止めて10分以上降車をうながした
  • タクシーから出た男性を警察官が転倒させた

警察官による虚偽の報告などの疑いもあり、押収された液体大麻も証拠として採用できないとして無罪となりました。

参考:京都府警の職質は違法、大麻事件の被告に無罪判決|産経新聞

令状が執行されるまでの約5時間とめ置いた

大麻取締法違反に問われた男性の裁判では、所持品検査などに対して令状主義の精神を無視した重大な違法があったとして、男性に無罪判決が下されました。

裁判では以下の行為に対して違法としました。

  • 職務質問を拒否したにも関わらず、警察官が男性の車のドアを開けた
  • 令状が執行されるまでの約5時間、駐車場に男性をとめ置いた

職務質問をされた際の尿検査についても任意です。

このように何時間もその場にとどめようとした場合は、違法な行為の可能性があるため、すぐに弁護士に相談してください。

参考:職務質問に「重大な違法」 大麻所持罪の男性に無罪判決|朝日新聞デジタル

承諾を得ずに所持品検査をした

違法薬物所持で行われた裁判では、警察が違法な所持品検査を行ったとして、男性に一部無罪判決が言い渡されました。

裁判では以下の行為について、強制的な捜索の疑いがあり、違法だとしました。

  • 男性の許可も得ずに所持品検査を行った
  • 多数の警察官が転倒した男性を17分間も取り囲んでいた

男性は覚せい剤の所持を認めましたが、裁判所は違法な手段で集められた証拠を排除して、一部無罪としました。

参考:「17分間取り囲み、強制的捜索の疑い」 一部無罪判決|朝日新聞デジタル

職務質問についてよくある質問

急いでいるときに職質されたらどうしたらいい?

もし急いでいるときに職務質問をされた場合は、急いでいる理由を説明して、短時間で終わらせてもらうようにお願いするのも1つの方法です。

可能であれば警察官に同行してもらってもよいでしょう。

職質で遅刻した場合は損害賠償を請求できる?

実際に、警察官の違法捜査で精神的な苦痛を受けたとして、男性が東京都に約200万円の損害賠償を求めた裁判が行われました。

男性は職務質問を受け、かばんに小型ナイフ付きの万能工具を持っていたため、軽犯罪法違反の疑いで書類送検されましたが、不起訴になっています。

東京地裁は、男性に異常な挙動など犯罪を疑う理由はないとして、所持品検査は違法だったとして、都に5万円の支払いを命じました。

このように、違法な職務質問が行われた場合には、都道府県に損害賠償請求をすることも可能です。

ただし、受けた精神的苦痛の程度や、職務質問によって生じた損害の程度によって、賠償金の額は異なります。

違法な職務質問には毅然と対処することが大切ですが、実際に訴えを起こしても、訴えに見合う補償を受け取るのは難しいかもしれません。

どうしても損害賠償請求をしたい場合は、できる限りの証拠を集めて、弁護士に相談しましょう。

参考:警視庁の職務質問「違法」、都に賠償命令 東京地裁|日本経済新聞

職務質問で令状が請求される条件は?

職務質問を拒否してもそれだけで令状が請求されるわけではありません。

逮捕令状が請求されるのは、罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合や、容疑者(被疑者)が逃亡や証拠隠滅のおそれがある場合です(刑事訴訟法第199条刑事訴訟規則第143条の3)。

罪を犯したと疑うに足りる理由や証拠がない限りは、逮捕されません。

ただし、重大事件などで緊急を要する場合や、たった今罪を犯したと疑われる場合は、その場で逮捕される可能性があります。

強制採尿が認められる捜索差押令状についても、疑うに足る理由や証拠があること、犯罪との関連性や必要性、相当性がないと認められません。

違法薬物を所持していたり、使用の疑いがあったり、即時に尿の採取をする必要性が高い場合は、こうした令状が認められる可能性があります。

まとめ

職務質問は、法律上任意ではありますが、拒否することは事実上難しいでしょう。

一度でも拒否をすれば、警察官からはお願いという形で、しつこく質問されることになります。

そのため、速やかに応じて早く解放してもらうのが得策です。

ほとんどの警察官は、適法の範囲で治安維持のために職務質問を行っていますが、職務質問に応じる善意につけこみ、不要な所持品検査を行うケースも中にはあります。

もし少しでもおかしいと感じたり、長時間に及ぶ職務質問を受けたり、拒否しているのに所持品検査をしようとする場合は、その場で弁護士に電話をかけてアドバイスを求めるのも1つの方法です。公務執行妨害とならないように注意しましょう。

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