更新日:2026年3月4日 (水)

公開日:2025年6月13日 (金)

離婚の解決金とは|相場や請求された場合の対処法

離婚の解決金とは|相場や請求された場合の対処法 離婚の解決金とは|相場や請求された場合の対処法

サマリー

離婚に際し、話し合いが難航する場面では解決金という言葉を耳にすることがあります。これは慰謝料や財産分与と異なり、法的な定義が明確ではない任意の支払いです。

しかし、金銭のやりとりが交渉成立の鍵を握ることも多く、適切な知識が求められます。

この記事では、離婚における解決金の意味や相場、交渉の際に押さえておきたいポイントを解説します。

離婚の解決金とは

離婚の解決金とは、離婚に合意してもらうために一方が支払う任意の金銭を指します。

たとえば、離婚を望む一方が、応じない配偶者に対して、解決金を支払うので離婚に応じてほしいと持ちかける場合などが該当します。

こうした金銭のやり取りは、法的な根拠がなく、強制力もありません。金額や支払いの有無はすべて話し合いで決められます。

そして、解決金・示談金・慰謝料という言葉は、文脈によって意味が混同されやすいため注意が必要です。

項目 概要
示談金 将来の法的紛争を防ぐ目的で、当事者同士の合意に基づいて支払われる金銭。
慰謝料 不貞行為や暴力などにより発生した精神的損害に対する、法律上認められる損害賠償。
解決金 慰謝料などの法的性質に明確に該当しないが、離婚合意を円滑に進めるために支払われる金銭。

解決金は示談金や慰謝料のように損害賠償としての意味合いはありませんが、離婚条件を調整するための解決手段といえます。

離婚の解決金の相場は?

解決金は、慰謝料と異なり法的な支払い義務がないため、相場を一概に示すことは難しいです

当事者同士が自由に取り決めることができ、極端な例では0円から1000万円以上の支払いが行われることもあります。

それでも目安を考える場合、慰謝料の金額が参考になります。

たとえば、不貞行為があった場合の慰謝料は50万〜300万円程度が一般的とされており、解決金も同様の金額で設定されることがあります。

加えて、解決金の金額は以下の要素によって変動します。

  • 支払う側の年収や資産状況
  • 離婚に至った原因(たとえば有責性がどちらにあるか)
  • 婚姻期間や子の有無
  • 財産分与との兼ね合い

法的な根拠はなく、双方の合意によって決定するため、金額の妥当性に不安がある場合は、弁護士に相談してください

【参考:離婚の慰謝料相場|年収との関係や請求できないケースとは

離婚で解決金を支払うケース例

解決金は、離婚の合意を円滑に得るために支払われる金銭として、さまざまな事情に応じて支払われることがあります。以下に代表的なケースを紹介します。

円満離婚の場合

双方が離婚に合意しており、特に争いがない場合でも、解決金が支払われることがあります。

たとえば、夫婦のうち一方に収入がなく、離婚後の生活に不安がある場合、経済的支援として解決金が提示されるケースがあります。

一方的な離婚を求める場合

明確な離婚原因(不倫やDVなど)がないにもかかわらず、一方的に離婚を望む場合、相手の合意を得るために解決金が支払われることがあります。

たとえば、性格の不一致や価値観の相違といった理由では、裁判で離婚が認められにくいため、話し合いによる解決を目指す際に金銭の支払いが行われることがあります。

いわば説得料のような位置づけで使われることがあります。

早期の離婚成立を求める場合

双方の意見が対立し、離婚の成立までに時間がかかりそうな場合、早期解決のために解決金を支払うこともあります。

たとえば、協議や調停が長期化すると精神的な負担が増すため、その負担を避け、できるだけ早く離婚を成立させるために、一定額の解決金を提示するケースがあります。

【参考:離婚してくれない夫・妻に疲れた|説得の仕方や相手の心理

離婚の解決金が高額になるケース

解決金の金額は当事者の合意により決まるため、法的な上限や下限は存在しません。

そのため、交渉次第で高額になることもあります。以下のようなケースでは、解決金が高額になる傾向があります。

支払う側の年収が高い

支払う側が高所得者である場合、解決金の金額も高くなることがあります。

たとえば、年収が1,000万円を超えるようなケースでは、支払う金額が数百万円単位となることも珍しくありません。

これは、もらう側の立場から見て、十分な補償と感じられる金額が、支払う側の経済力に比例して高くなる傾向があるためです。

任意の交渉によって金額が決まる以上、年収や資産が重要な判断材料となります。

支払う側が有責配偶者である

不貞行為や家庭内暴力など、離婚原因が支払う側にある場合、その責任を補う意味合いで、解決金が高額になることがあります。

本来、こうしたケースでは慰謝料の支払いが求められますが、解決金として支払うこともあります。

この場合、名目としては解決金であっても、実質的に損害賠償的な性質を持つ金銭として扱われることがあります

【参考:有責配偶者とは|有責配偶者になる原因と離婚できるケース

もらう側が専業主婦(主夫)などの場合

もらう側が専業主婦(主夫)であり、離婚後の生活基盤が乏しい場合、生活支援として、解決金が高額になることがあります。

とくに、婚姻期間が長く、配偶者に扶養されてきた場合は、離婚後に経済的に困窮するおそれがあります。

そのため、生活再建のための資金として解決金の上乗せされることもあります。

離婚の解決金を請求されたら払わないといけない?

解決金には法的に支払う義務はない

解決金は、あくまで当事者同士の話し合いによって任意に支払われる金銭です。民法や裁判所の判決によって直接的に支払いが命じられるものではありません。

そのため、請求されたからといって法的に支払わなければならない義務は生じません。

ただし、解決金を拒否した場合、相手が離婚に応じず、離婚成立に時間がかかるかもしれません。

調停や訴訟に移行した場合は、時間と費用がかかることになるため、全体としてのコストや解決までの時間を考慮して検討するのも一つの選択肢です。

慰謝料の名目で解決金を支払うことになることも

離婚協議の場では、解決金と慰謝料が混同されることもあります。

たとえば、有責配偶者が離婚を求められるケースでは、裁判などにより慰謝料請求を受けることがあります。

慰謝料は、精神的苦痛に対する損害賠償として法律で定められており、支払う義務が生じます。

解決金と慰謝料は法的性質が異なるため、それぞれの意味と義務の有無を理解しておく必要があります。

離婚の解決金を払う・もらうときの注意

解決金をめぐるトラブルを避けるためには、金額だけでなく合意内容の取り決め方や記録の残し方にも注意が必要です。

口約束ではなく書面に証拠を残す

解決金の支払いについて口頭で合意した場合、後になって「支払った・受け取っていない」といったトラブルに発展することがあります。

このような食い違いを防ぐためにも、解決金に関する合意は必ず書面に残しておくことが重要です。

さらに、公正証書にしておくと、支払いが滞った際に法的手段を取りやすくなります。

慰謝料や財産分与との区別を明確にする

解決金は慰謝料や財産分与と異なり、法律上の明確な定義が存在しないため、目的を合意書などで明示しておくことが重要です。

たとえば、解決金が慰謝料や財産分与を含むか否か、今後これらを別途請求しないことを明記することで、後のトラブルを予防できます。

次のような点について明確にしておく必要があります。

  • 解決金は単なる離婚への同意の対価なのか
  • 慰謝料や財産分与など他の名目をすべて含んだ金額なのか
  • 別途、慰謝料や財産分与の請求は行わない前提なのか

合意の段階でこのような点を明記しておかないと、後日「慰謝料が別に支払われるべきだった」「財産分与としては不十分だ」といった認識の違いが発生し、追加の請求や裁判に発展するリスクがあります。

解決金を含めた離婚合意書の書き方

解決金の支払いを含む離婚条件は、離婚協議書などの書面に詳細を記載し、明確にしておくことが重要です。離婚協議書には、主に次のような内容を記載します。

  • 離婚の合意
  • 慰謝料の有無および支払い内容
  • 財産分与の内容
  • 年金分割の合意(必要な場合)
  • 公正証書化の有無と強制執行認諾文言の記載
  • 清算条項(本協議書に記載のない請求は行わない旨)
  • 作成日および当事者双方の署名・押印

未成年の子どもがいる場合には、次の項目も必ず記載する必要があります。

  • 親権者の指定
  • 養育費の金額、支払期間、支払方法
  • 面会交流の方法および頻度などの具体的内容

これらを明文化しておくことで、離婚後の金銭トラブルを未然に防ぐことができます。

重要な金額が関わる場合は、内容に法的効力を持たせるため、公正証書として作成するのが望ましいです。

【参考:離婚協議書とは|離婚協議書の書き方や記載すべき内容

離婚時の解決金に関するよくある質問

離婚の解決金に税金はかかる?

解決金は、慰謝料や財産分与と同様に、所得税法上の非課税所得として取り扱われることが多いです。

ただし、社会通念上ふさわしくない高額な金額や、慰謝料等の性質を超えた金額は贈与とみなされ、贈与税の課税対象となる場合があります

【参考:国税庁 – 贈与税の非課税財産

離婚の解決金で1000万払うことはある?

解決金は法的な上限が定められておらず、当事者の合意によって金額が決まるため、1000万円といった高額の支払いがなされるケースも存在します。

ただし、1000万円はあくまで特例的なケースであり、全体としては数十万~数百万円の範囲で収まることが多いとされています。

性格の不一致による離婚で解決金を支払うことはある?

性格の不一致は民法上の離婚理由には該当しませんが、実際には最も多い原因の一つです。

法的な慰謝料は認められにくいものの、話し合いの中で早期離婚のために解決金が支払われることがあります

【参考:性格の不一致で離婚が成立するケースと慰謝料の相場

まとめ

離婚時における解決金は、法的義務があるものではなく、当事者の合意によって支払われる任意の金銭です。

そのため、金額や名目、支払い方法についての取り決めが曖昧なままでは、後々のトラブルにつながるおそれがあります。

解決金という言葉は、示談金や慰謝料といった他の言葉と混同されやすいため、意味や目的を明確に区別したうえで書面化することが大切です。

高額になるケースや税務上の注意点も存在するため、不安がある場合は弁護士に相談して慎重に進めましょう。

コラム監修者

石田 志寿

石田 志寿

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